Duels

決闘

　決闘とは、紳士が論争を解決するため、また自身の名誉を守るために、行う戦いのことである。オーストラリアでは、19世紀の中頃まで行われていた。決闘を行った有名な人物として、ジョン・マッカーサー John Macarthurの名前が挙げられる。1790年にはキャプテン・ネピアンCaptain Nepeanと、1801年にはキャプテン・ウィリアム・パターソンCaptain William Patersonと決闘した。パターソンとの決闘では、相手に怪我を負わせたことが記録に残されている。決闘は違法な行為ではなかったが、相手に怪我を負わせることは良くないとされていた。そのため、マッカーサーは逮捕され、イングランドで裁判にかけられてしまう。

　メルボルンでは、決闘は日常茶飯事のことであった。決闘の参加者の多くが紳士クラブに所属していたことが分かっている。しかし、中にはエドワード・カー Edward Currのように、決闘を拒否する者もいた。1980年に出版された『フィリップ港の紳士たち』Port Phillip Gentlemenには、メルボルンで行われた決闘のリストが載っている。それによると、植民地での決闘は、本物の決闘の猿芝居とみなされていたことが分かる。実際、唯一の流血事例は、決闘者が自身のつま先を誤って撃ってしまったというものであった。

　駒橋大輔1215