Census

人口調査

　人口調査とは、人口構成やその特徴について、周期的に、公的な調査を行うことである。

　オーストラリアにおいて、人口調査は、植民地時代の初期より、政府の業務であった。ベンサムの思想に影響を受けた植民地行政官たちは、人民を数えることによって、よりよく彼らを統治することができるという信念を持っていた。アーサー･フィリップArthur Phillip以降、初期の総督たちは、囚人人口の点呼を行っていた。1828年には、ニューサウスウェールズにおいて、ラルフ・ダーリング総督の下で、最初の包括的な人口調査が行われ、その後も定期的に調査が行われるようになった。19世紀後半には、イギリス式の10年毎の国勢調査が、オーストラリア各地で実施されるようになった。ニューサウスウェールズ（1851年）、ヴィクトリア（1854年）、クイーンズランド（1861年）、南オーストラリア（1861年）、タスマニア（1861年）、西オーストラリア（1891年）の順に実施された。調査項目は、年齢、出身地、結婚の有無、職業、住居、宗教であった。クイーンズランドでは非白人に対する特別調査が行われたこともある。

　また、植民地の人口調査方法の詳細については、統計学者ティモシー･コフランTimothy Coghlanの1891年のニューサウスウェールズ・センサスへの序文が参考になる。1911年以降、人口調査は、連邦政府の管轄事業となり、現在まで継続している。近年では、調査項目は、収入、貯蓄額、乗用車の所有、旅行先にまで拡大している。なお、統計の完成後、個々の世帯ごとのデータを抹消する制度となっている。

　河知和幸1507