Atomic Testing

核実験

　1952年から1963年の間に、オーストラリアでイギリス政府によって核実験が行われた。オーストラリア政府は、イギリスの核技術の移転が容易になるという誤った期待の下、実験場の提供と計画の支援を行った。実験では、モンティー・ベロウ諸島とイミュー・フィールド、マラリンガの3か所で、計12回の核爆発実験が行われた。またマラリンガでは、1963年まで小規模な核実験が続けられた。

　1950年代を通して、放射性降下物の危険性がじょじょに知られるようになると、核実験計画への反対派が現れた。フランスが太平洋で核実験を始めた1970年代には、さらに放射能汚染への不安が高まった。健康影響への不安が大きくなった結果、オーストラリアでも1984年にイギリス政府の核実験に関する王立調査委員会が設置された。委員会は安全対策や、当時アボリジナルの社会を襲ったとされる「黒い霧」の調査を行った。また、委員会はオーストラリアの科学的な監視者としての役割、特に物理学者であったアーネスト・ティタートンErnest Tittertonの役割を問いただした。長きにわたる政治的あるいは法的な争いの後、除染が行われ、核実験に使用された土地は元の持ち主に返還されたが、いまだ長期の居住には危険な場所も存在している。

　齊藤丈晃1507