オーストラリア辞典
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York

ヨーク


西オーストラリア、パースの東97キロに位置する。
人口:1,923(1996)、1,136(1981)、2,019(1911)、618(1859)。


 地名はイングランドのヨークシアの同名の町に由来する。かつては先住民ニュンガーが居住する地域であった。1830年、ロバート・デイルがダーリング山地を通過し、エイヴォン・ヴァリー開拓の道をひらき、農民がその後に続いた。1831年にタウンの場所が公示された。西オーストラリア最古の内陸都市である。羊毛が主要産業となったが、フリーマントルへの輸送費のほうがロンドンへの輸送費よりも高く、安価な交通手段整備が経済発展の主要な課題であった。1835年入植者が水場の近くに住み着いたことからアボリジナルとの間に争いが起こった。1839年にはイライザ・クックとその嬰児がアボリジナルによって殺害されたため、兵士が入植地の防衛にあたるようになった。こうしてヨークはようやく集落の形を整えるようになった。1886年に鉄道が開通すると、偶然にも数年にしてゴールドラッシュが起こった。これは町にとってきわめて好都合であった。1889年イルガーンYilgarnに金鉱が発見されてからは、ヨークは活況を呈した。金鉱夫はアルバニーからヨークまでの鉄道を利用した。しかし、パースからサザン・クロスへの直通線が完成してからは、ヨークの人間の数が減少した。1970年ごろまでにはパースの人々が週末を過ごすための行楽地となった。町はナショナル・トラストによって歴史の町に指定されており、19世紀の多くの建物が保存・修復されている。裁判所(1895)、聖パトリック教会(1886)、旧病院(1896)、タウン・ホール(1911)など美しい建築物が非常に多く存在する。

 氏久智・藤川隆男0403