Wave Hill
ウェーヴ・ヒル、ウェイヴ・ヒル
ノーザンテリトリーにある牧場であり、アボリジナルの重要な土地権回復運動の舞台となった。ウェーヴ・ヒル牧場は、ヴィクトリア川流域の15,800平方キロメートルに及ぶ地域を占め、ダーヴィンの南600キロに位置する。1883年に創設され、イギリスの食肉会社、ヴェツィ社Vesteys Ltdが99年間の借地権を得ていた。
1966年8月にアボリジナルのグリンジGurindjiの労働者200人が、低賃金、労働環境の改善を求めた「ストライキ」を起こした。彼らはウォティ・クリークWattie Creekの周辺を占拠し、1967年4月に連邦総督にその周囲の1,300平方キロメートルの土地の所有権の回復を要求した。彼らの運動は、各地のアボリジナル、小説家のフランク・ハーディFrank Hardyや官僚で経済学者のクームズH.C.Coombsらの著名な白人によって支持され、連邦政府の排除の試みにもかかわらず、抵抗運動は続いた。
1972年にウェーヴ・ヒルの小規模な2区画の土地が彼らに割譲されたが、グリンジの人々は満足しなかった。1972年の選挙直後、ホイットラム政府はグリンジの伝統的な土地の所有権を認めた。そして1975年に政府は、アボリジナル土地基金局Aboriginal Land Fund Commissionを介して、3,237平方キロメートルのこの地の牧場をイギリスの会社から購入し、1971年に設立されたグリンジの共同体にリースとして与えた。
その後も、アボリジナル土地権利法Aboriginal Land Rights Actの下で、伝統的な土地所有者から再三の土地権利の請求がなされた。1986年5月、政府はグリンジにこの地の所有権(自由土地保有権)を与えた。
菅原潤哉01