The Returned and Services League (RSL)
在郷軍人協会、退役軍人会
オーストラリアの退役軍人たちの利益を代表する団体。第1次世界大戦中の1916年にオーストラリア海陸帰還兵士帝国協会The Returned Sailors' and Soldiers' Imperial League of Australiaとして結成され、オーストラリアにおける同種の団体としては、現在もなお最大である。第2次世界大戦中の1940年にオーストラリア海陸空帰還兵士帝国協会The Returned Sailors', Soldiers' and Airmen's Imperial League of Australia、1965年にオーストラリア帰還兵士協会The Returned Services League of Australiaと改称した。主な活動は、退役軍人たちの社会復帰や福利厚生である。結成当初の協会の目的は、海外で従軍した帰還兵士の雇用機会の創出や年金・医療制度の拡充を政府に要求することであった。また、協会はオーストラリアにおけるアンザック神話の確立にも貢献し、大戦直後からアンザック・デイ制度化運動を推進すると同時に、今日まで一貫してアンザック・デイの式典の中心を担ってきた。協会はオーストラリア各地に支部を持ち、退役軍人たちが集うクラブは地域コミュニティの中心ともなっている。協会の公式見解では、協会は非政治的な組織であり、特定の政治的立場によらないとされているが、国防・外交政策については組織として積極的に発言し、大きな影響力をもっている。その政治的影響力の大きさから、RSLこそオーストラリア最大の圧力団体である、という評価もある。1982年以前には、入会に際して戦争での実戦経験が必要とされたが、規約の改正によって半年以上の従軍経験が新たな入会資格となった。この背景には、時代の経過による会員の高齢化と入会者の減少がある。1990年に現在の名称となり、1992年時点での会員数はオーストラリア全国で約25万人を数える。
津田博司0604