Rowing and Sculling

ボート競技

　オーストラリアでボート競技が発展した理由には、穏やかな気候、ボートに適した川や港湾の存在、そしてレースを種に賭けをする習慣の存在などがあげられる。1805年には早くも船のクルーによるボート競争が行われており、1818年には最初のコンテストの記録が残っている。ニューサウスウェールズでは1850年代にプロのスカル・レースが主流となり、英国のプロの参加によって水準が引き上げられた。1876年、ニューサウスウェールズ出身のネッド・トリケットNed Trickettはテムズ川でのワールド・チャンピオンシップで優勝し、スポーツにおけるオーストラリア選手初の世界チャンピオンとなった。その後1907年までの間に、ニューサウスウェールズの7人がワールド・チャンピオンになった。このことはオーストラリア人に大きな自信を与えた。一方プロのスカルは1890年代の不況期以降に、下火となってしまう。アマチュア競技は早くから特にレガッタで発展し、大学・パブリックスクールなどを中心に多くの有力なクラブが作られた。女性のクラブも1907年に誕生し、5年後に州対抗のレースが行われたが、女性の激しいスポーツ全般に対する社会的な制約に長い間苦しみ、その地位が確立されたのは1970年代になってからのことである。

　藤川隆男0403