Prichard, Katherine Susannah
プリチャード、キャサリン・スザナ
1883-1969
ラヴーカLevuka、フィジー生まれ。
作家
1883年12月4日、『フィジー・タイムズ』の編集長であったトム・プリチャードの長女として生まれる。父の度重なる失業と鬱病の悪化により、一家はフィジーからメルボルン、タスマニア、再びメルボルンへと移住を繰り返した。このような経験が社会システムの欠陥と貧困を生み出す制度への批判的な目を養った。彼女はメルボルン・カレッジを出てから家庭教師となり、1903年ごろからは、新聞に短編小説などを掲載してもらえるようになった。父の自殺後、アルフレッド・ディーキンの紹介状を得て、1908年ロンドンへ移ってジャーナリストとなった。ロンドン滞在中の1915年に、彼女のギップスランドでの経験をもとにした小説The Pioneersが出版されて、彼女の小説家としての地位が確立した。1916年にヴィクトリアに戻るが、1919年に結婚し、西オーストラリアに移住した。この時期共産主義の影響を受けて、彼女はオーストラリア共産党の設立に尽力し、生涯その党員となった。また、反徴兵運動や反戦運動に身を投じた。パース移住後に彼女の才能は開花し、多くの批評家の賞賛を受けるようになった。これは共産党の人気を高めることにもつながった。しかし、戦後の保守的雰囲気の中で、彼女の共産主義とソ連への変わらぬ支持は、彼女をオーストラリアの大衆と、さらに共産党からも孤立化させることになった。1969年10月2日、彼女はパースで死去した。彼女の小説には社会正義をテーマにしたものが多く、Working Bullocks(1926)、Coonnardoo(1929)、Haxby’s Circus(1930)などがある。その他の著作にはClovelly Verse(1913)、The Earth Lover and Other Verses(1932)、Child of the Hurricane(1963)などがある。
藤川隆男1202