Marvellous Melbourne

素晴らしきメルボルン

　1885年に、講演のためオーストラリアを訪れていたロンドンのジャーナリスト、ジョージ・オーガスタス・サラが、シドニーの『デイリー・テレグラフ』紙に連載の旅行記のなかで、当時急速に発展しつつあった都市メルボルンを描写するのに用いた言葉。彼の記事は、その後、メルボルンの『アーガス』と、『オーストラレイジアン』ならびに『シドニー・モーニング・ヘラルド』の各紙に転載され、土地投機ブームに沸き返る同市の熱狂的な雰囲気のなか、フレーズは広く用いられるようになる。1889年には、劇作家のアルフレッド・ダンピアが、市の生活を描いたメロドラマのタイトルに使う。しかし、1891年に土地ブームは崩壊し、メルボルンの繁栄は終わりを告げる。また、繁栄の一方で、「香しきスメルボルン」'Marvellous Smelbourne'という言葉で皮肉られるようなスラム、貧困、汚染といった問題が深刻化していた。

　宮崎章00