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Malley,Ern
マリー、アーン
モダニストの詩を攻撃するために創作された架空の詩人。
ジェイムズ・マコーリーJames McAuleyとハロルド・スチュアートの2人の保守的な伝統詩人によって生み出された架空の人物。彼らはある土曜日の午後、いくつかの辞書、シェイクスピアの戯曲、そしてアメリカの下水に関する調査書から無作為に言葉を集め、それらを16編の詩に直し、「暗い食」The Darkening Eclipticというタイトルをつけ、文学と芸術における現代派と国際派を奨励する『アングリー・ペンギンズ』誌へと送った。これは現代詩を書き、現代詩を愛好する人々が、本当の現代詩と意味のない詩とを、見分ける力があるのかどうかを試すためのものであった。彼らは『アングリー・ペンギンズ』誌へ詩を送るときに、アーンの姉であるエセルの名を名乗り、これらの詩は自動車工、保険のセールスマンとして生活し、1943年に25歳で亡くなったシドニーの詩人、アーンのものであるとした。
『アングリー・ペンギンズ』誌のリーダーである、マックス・ハリスは、これらの詩を賞賛し、1944年の秋号でそれらを出版した。1944年6月5日付けの『シドニー・サン』紙で事の真相が明らかになると、保守派と現代派の詩人たちの間で激しい論争が発生することとなった。
ハリスは、出版した詩のなかに不適切な広告表現があるとして、南オーストラリアで起訴され、有罪の判決を受け、5ポンドの罰金を課せられた。『アングリー・ペンギンズ』誌を廃刊に追い込むこととなった架空の兄妹は、オーストラリアにおける現代詩運動の発展の大きな阻害要因であったとされている。
水田哲朗0601