オーストラリア辞典
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Kisch Affair

キッシュ事件



 1934年から1935年にかけて論争を引き起こした外交上の問題。チェコスロバキアの共産主義作家、エゴン・エルヴィン・キッシュが、1934年に戦争・ファシズム反対運動オーストラリア支部が主催する、メルボルン会議での演説に招かれた。彼はフリーマントルで船から下りることを許可されなかったので、メルボルン港で船から飛び降りて(この時彼は足を骨折した)、上陸しようと試みた。結局、シドニーへ連行され、ここで入国審査で不適格と判断された。この時行われた移民制限法による言語試験(ディクテーション・テスト)は、スコットランドのゲール語で実施された。というのは、キッシュは他の多くの言語を話すことができたからである。この件は裁判所にゆだねられたが、連邦最高裁判所は、スコットランドのゲール語は移民制限法の定める「ヨーロッパ言語」ではないため、このテストは無効だとした。キッシュは1935年にオーストラリアを離れる前に多くの集会で演説した。彼の著作には、Australian Landfall(1937年)がある。

 山口典子00