Kennedy,Marnie
ケネディ、マーニー
1919-1985
コッパーマイン・クリーク、クィーンズランド生まれ。
アボリジナル、1985年『混血に生まれて』Born A Half Caste(自伝)が出版される。
カルカドゥーンの一員であった。「自伝」発行の寸前に死亡したが、本は発行され、版を重ねている。
マーニーの物語は、1919年コッパーマイン・クリークで彼女が「白人」との混血で生まれたいきさつに始まり、「その法律のもと」に、子供時代をすごしたパーム・アイランドの収容所での生活、その後の農場や白人家庭での厳しい労働生活、彼女の出会った人々とその生活を描き出している。それは、静かな語り口ではあるが、勇気と決断力に満ちた物語である。彼女はこの自伝を彼女の家族と民族の未来に捧げており、白人たちが「混血として」生きた彼女の人生を読むことで、アボリジナルの人々の苦しみを理解してほしいとの願いを込めている。「その法律」とは、1897年に制定された「アボリジナルの保護と麻薬売買を禁止する法律」のことである。
彼女は、父については「名もなき白人の1ねずみ」であった、自分を「この国をさまよう色黒のこども」にした張本人であったと書いている。母はマーニーという混血を産んだ「罪」により、パーム・アイランドに送られた。彼女は白人の作った「新種」であり。それゆえに「危険」であるとされたのである。 彼女は、問いかけている、「あなたは説明できるのか」と、なぜ自分たちが人類の最下等に分類されているのかと。この地には、「混血」などいなかった、白人の来る以前には、この土地はアボリジナルにとってはパラダイスであったのだと主張している。
「この自伝は小冊子にすぎないが、アボリジナルの「奪われた世代」に関する貴重な記録のひとつである。アボリジナルの歴史の研究者にとっては必読の書であると言えるだろう。そして、いかなる歴史家もこれ以上の力のある歴史を書くことはできない」(藤川隆男0203)。
安井倫子00