Industrial Groups
インダストリアル・グループ、反共労働団体連合、産業グループ
1930年代から第2次世界大戦後にかけて急速に勢力を拡大していた共産主義勢力に対抗するために結成された反共労働団体。
1945年、この種の組織の最初のものはニューサウスウェールズに現れた。インダストリアル・グループは、既存の労働組合と連携し、組合選挙では共産主義者を追い出すために、自らに近い立場を採る候補を支援した。また、インダストリアル・グループは、カトリック社会研究運動(通称ムーヴメント)と緊密に協力した。ムーヴメントは、1942年に結成されたカトリック団体で、B.A.サンタマリアがその中心となっており、インダストリアル・グループと共通する考えを持っていた。1940年代後半には、基幹産業を含む業種で共産主義的労働組合によるストが頻発していた。インダストリアル・グループは、ムーヴメントとともに全国でそうした労働組合に対する反対キャンペーンを展開し、成果をあげた。特に、産業労働評議会Trades and Labour Councils 、オーストラリア労働組合評議会ACTUなどの中央組織に対して集中的に働きかけを行った。
1949年に労働党政権の制定した法律や、1951年のメンジーズ連立政権の組合投票規制は、インダストリアル・グループに有利に作用した。1950年代に入ると、労働党内部にも大きな影響力を持つようになり、党の路線を巡って対立が生じた。インダストリアル・グループに反対する者の中には、その背後にあるカトリック勢力の影響力を嫌い、陰謀説を囁く者も存在した。1954年には、厳しい政局の中、労働党党首H.V.エヴァットが、インダストリアル・グループを公然と非難するようになり、論戦が起こった。その結果、1955年に党は分裂し、インダストリアル・グループに近い議員たちは民主労働党を結成した。
三木一太朗00