Digger

ディガー、金鉱夫、オーストラリア人兵士

　オーストラリアに特有の意味を持つ言葉である。1850年代のゴールドラッシュ期に、ヴィクトリア州で、金鉱夫gold-diggerと金鉱diggingsという言葉などから派生して用いられるようになったと言われている。金鉱夫たちは自らをディガーと呼び、政府に対抗したことから、オーストラリアの平等主義と連想して用いられるようになった。

　一方、この言葉の起源は初期アメリカにあるとも言われている。カリフォルニアの採金地で生まれ、次いで1860年代のアメリカ南北戦争時に使われたというものである。

　第1次世界大戦中、オーストラリアとニュージーランドの兵士たちはディガーと呼ばれた。これは戦地において塹壕を掘ったことに由来すると言われているが、確かではない。兵士たちは互いに、誇りと愛情をもってこう呼び合った。やがて、この言葉は男性同士でのくだけた挨拶の仕方としても長く使われた。この結果、オーストラリア人男性間にあるとされるメイトシップ（仲間意識）と不可分のものとして理解されるようになる。連邦首相であったヒューズが、the Little Digger と呼ばれたのは有名である。現在ではこの表現は日常的会話では死語になりつつある。

　山口典子00