Derby

ダービー

　タスマニア北東部、リンガルーマ Ringarooma 地方にある町。同地方の行政の中心地であり、イギリスの地名ダービーDerbyにちなんで名づけられた。

　1855年に政府測量官のジェイムズ・スコットが、ヨーロッパ人としては初めてリンガルーマ川地方を探検した。1860年代にブランクスホームBranxholmの牧場が作られた。1876年にはダービーの近くでスズが発見され、ブラザーズ・ホームBrothers Home鉱山が開かれ、海岸のブービアラBoobyallaまで軌道が敷設された。町はブラザーズ・ホームと呼ばれたが、1897年に現在の地名になった。地名はイギリス首相、ダービー伯にちなんで名づけられたという説もある。1882年には北東部でもっとも豊かなスズ生産地となり、19世紀後半には3,000人がこの地方に暮らしたが、1929年、鉱山のダムが決壊し、町が押し流されて14人の死者を出した。それ以降、鉱山がもとの産出量を回復することは2度と無かった。現在は、歴史的な町に指定されている。

　石光崇昭・藤川隆男0303