Council for the Defence of Government Schools(DOGS)

公立学校擁護評議会

　この組織は1967年にヴィクトリア州に始まり、間もなく他州に広がった。1963年に連邦レベルで始まり、その後諸州が開始した、私立学校組織への財政的援助の拡大に反対して組織された評議会である。オーストラリア社会における、私立学校に反対する長年の声を代表した団体であり、19世紀の教育法に関する議論における私立学校への反対論を甦らせた。カトリック学校が私立学校の大半を占めていたので、DOGSは、1960年代までは鎮静化していた宗派対立に再び火をつけたのである。

　DOGSは1969年から連邦および州選挙を戦い、オーストラリア労働党と手を組むことによりある程度の成功を収めた。しかし、労働党が学校の必要に応じて政府の財政援助を行うという政策を採用するにいたって、オーストラリアにおける2大政党制の中で評議会が影響力を行使できる場面は狭まった。DOGSは、唯一の綱領しか持たなかったという弱点に加え、労働党の協力が得られなくなったこともあり、急速に無力化した。1975年には目に見える政治との関連性はなくなった。しかしDOGSは、特に社会的問題が他の時期より注目された1970年代初めに、教育への関心を集めることに確実に貢献した。

　清水寿夫00