Clare

クレア

　1842年、エドワード・グリーソンEdward Gleesonによって植民が開始された。クレアという地名は1846年に彼によって名づけられたものであるが、アイルランドのクレア州か同じくアイルランドのアーマー州クレアのどちらかにちなんでいる。それまでは、トゥインズTwins（2本のユーカリの木から）、インチクウィンInchiquin（グリーソンの牧場名から）などと呼ばれた。白人の入植以前、この周辺にはガーナ、Nukune、Ngadjuriなどのアボリジナルが居住していた。

　1840年代に羊牧場が建設され、シレジアの人々が入植した。1847-49年に聖マイケル教会が建設された。初期の開拓者E.B.グリーソンによって最初のブドウの木が植えられ、1851年にはイエズス会のブドウ園が設立された。1840年代に町は徐々に大きくなり、バラやウォラルー、カディーナとの取引で栄えた。警察署と裁判所が1850年に建設され、現在は博物館となっている。53年にはクレア地方評議会が設立された。セヴンヒル・カレッジが1856年に開校したが、1886-87年ころ廃校となった。1870年代に小麦の生産域が北に広がると、クレアは発展したが、1880年代になって鉄道が町を通過しなかったことで、衰退の道をたどった。しかし、1882年にアデレイド以外の南オーストラリアで最初の屋内プールが建設され、1894年にはスタンリ・ワイン・コーポレーションが、1895年にはヴェンドゥリー・セーラーズが開業した。そして、1895年にこの地域産の最初のリンゴが輸出された。1918年には鉄道が開通した。こうして町は徐々に活気を取り戻した。現在のワインの主要な生産地の1つであり、周辺には多くのワイナリーがある。

　藤岡真樹・藤川隆男0603