Blainey, Geoffrey

ブレイニー、ジェフリー

　『距離の暴虐』（日本語訳、サイマル）など多数の著書で知られる歴史家である。企業の歴史を請負うフリーランスの歴史家からキャリアを始めた異色の存在で、その能力を認められて、メルボルン大学の経済史の教授となったが、1984年からアジア系移民を批判する移民論争に火をつけ、ジョン・ハワードとともにその主役となった。おそらく、それが原因で同僚から孤立し、1988年に大学を去ることになった。また、1993年に、黒い喪章をつけた歴史、black armband history という言葉を発明し、先住民の歴史やエスニック・グループの歴史、女性史などを、オーストラリアとオーストラリア国民を極端に否定的にとらえるものとして批判した。オーストラリアの右傾化を象徴する人物であるとみなされている。

　藤川隆男0503