Australian Broadcasting Commission (ABC)
オーストラリア放送委員会、オーストラリア放送協会(エイビーシー)
1920年代にオーストラリアのラジオ放送は始まるが、その放送は視聴者の受信料で経営を行うAクラス局と、広告料収入で経営するBクラス局によって行われていた。1928年に連邦政府はAクラス局を統合し、その経営をオーストラリア放送会社Australian Broadcasting Companyに委託した。1932年にイギリスのBBCをモデルにして、この会社に代わり設立されたのがオーストラリア放送委員会で、日本のNHK(日本放送協会)に相当する。郵政電信省Department of Posts and Telegraphsの監督のもとにあった。ABCは1932年に8つの主要都市と4つの地方のラジオ局で放送を開始した。文化事業も積極的に推進し、1930年代にスタジオ楽団studio orchestrasを各地に設立、コンサートを開催した。ここから、交響楽団がシドニーなどの各州都で設立された。ラジオ・オーストラリア(1939年から1945年にはオーストラリア・コーリングという名称)が、1939年から海外向けの短波放送を始めていた。1948年、財政基盤を確立し、放送の独立性を高めるために、連邦政府はオーストラリア放送管理委員会the Australian Broadcasting Control Boardを設立し、郵政電信省による統制を廃止し、連邦政府による財源の提供を開始した。1956年にはシドニーとメルボルンでテレビ放送が開始され、その後各地が続いた。カラーテレビ放送が1975年に、FMラジオ放送が1976年に開始された。1977年には、放送管理委員会に代わりオーストラリア放送裁判所the Australian Broadcasting Tribunalが設置された。1983年にABCはAustralian Broadcasting Corporationにさらに改組され、現在もその構造改革が議論の的となっている。
清水寿夫00