オーストラリア辞典
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Australia

オーストラリア、オストレイリヤ


イングランドではAustralia、Melbourne、Brisbaneに対し、日本語にするとオーストレイリヤ、メルボーン、ブリズベインという発音が普通だが、オーストラリアではそれぞれ、オストレイリヤ、メルバン、ブリズベンに近い発音となる。


 オーストラリアという名称は、一般的に対蹠地(地球の裏側)に位置する大陸を指す言葉、terra australis(南の大地)、terra australis incognita(知られざる南の大地)に由来するとされる。

 1606年、ポルトガルの航海士ペドロ・フェルナンデス・デ・クィーロスQuirosが太平洋横断途中、彼がterra australisであると考え、Austrialia del Espiritu santoと呼んでいた所に投錨した。そこは1772年から1775年に行われたキャプテン・クックの2度目の航海において、ニューヘブリディーズであることが確かめられた場所であった。クィーロスや同じ時代のオランダの航海士の報告により、terra australisの代わりにAustraliaという語が地図に記されるようになった。クィーロスが用いていた古風なAustrialiaよりも、Australiaというスペルが好まれ、すぐに後者の綴りが用いられるようになる。ヨーロッパ諸国はさまざまな名前でこの大陸を呼んだが、オーストラリアという名称は、1788年の入植開始当初から用いられることがあった。1814年にイギリスで航海士マシュー・フリンダーズが出版した『オーストラリアへの航海』は、オーストラリアという名称の普及に貢献した。また、エマンシピストや、現地生まれの白人は、オーストラリアという言葉を旧世界からの分離の象徴として社会に広めた。植民地が増えていくにつれ、オーストラリアという語は、特に南オーストラリアと西オーストラリアにおいて、広く普及していき、連邦結成の際にはよりいっそうの意味が与えられるようになった。オーストラレイジアAustralasiaという名称も散見されるが、これはオーストラリアだけでなくニュージーランドも包括する地理的な名称である。ただし、当時の人々は厳格な区別としてこの語を用いていたわけではなく、オーストラリアだけを指して用いられる場合も多かった。

 三木一太朗・藤川隆男0103