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Anzam
アンザム
オーストラリア、ニュージーランド、イギリスによるマラヤ連邦とシンガポールにおける防衛軍の駐屯を定めた協定。イギリスの植民地であった1948年、マラヤ連邦(同年2月1日発足)におけるマラヤ共産党の武装蜂起に対して、「非常事態」が宣言された。この間イギリスはアンザムを考案して、共産党の蜂起に対応して、オーストラリアとニュージーランドは、地域防衛を原則として、イギリス軍に協力することになった。オーストラリアは最初は物資を提供していただけであったが、1950年から航空機を、1955年から軍隊を提供した。オーストラリアのアンザムへの参加は、マラヤとの公式条約により取り決められているのではなく、マラヤ連邦の独立(1957年8月31日)後の1959年、両国間の文書の交換によるものである。他方、イギリスはマレーシアと公式の協定を締結しており、オーストラリアはイギリス連邦の一員としてこの協定に参加していた。
マレーシアにおけるアンザム軍の削減に続き、協定は1971年に失効した。その背景には、インドネシアとの対立の緩和と、イギリスのアジアへの介入からの撤退の方針がある。同年、アンザムに代わり、五カ国防衛協定が結ばれた。イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール間で、マレーシアとシンガポールへの攻撃に対する対応が取り決められた。オーストラリアのこの協定への具体的な関与は、極めて限られたものにすぎなかった。
中西雅子00