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アングリー・ペンギンズ

　1940年代のオーストラリアのモダニスト運動。詩人のマックス・ハリス（Max Harris:1921-95）によって設立され、彼が指導的な役割を果たした。この運動は、ジンディワラバク運動というナショナリズムに対抗して生じた面もある。「アングリー・ペンギンズ」の名は、ハリスの詩からとられた。また、おなじく詩人のサー・チャールズ・リッシュビエス・ジュリーがアデレイドの文藝晩餐会の席上で、ハリスと多くのラディカルな若い詩人たちを評した際にも使われた。

アングリー・ペンギンズは、オーストラリアの作家や芸術家と、ヨーロッパのモダニスト運動を結びつけようと試みた。その中には、ジェフリー・ダットン、ピーター・コウワン、ハリー・ロスコレンコ、シドニー・ノラン、アルヴァート・タッカー、ジョン・パーシヴァル、ジョイ・ヘスター、アーサー・ボイドなどが含まれていた。

　『アングリー・ペンギンズ』は、ハリスとジョン・リードJohn Reedの両名が編集を担当した季刊雑誌のタイトルにもなった。この雑誌は、1940から1946年にかけて発行され、最初の2号は、アデレイド大学美術協会から発行され、その後はハリスとリードが独立してメルボルンで出版した。

　1944年、『アングリー・ペンギンズ』は、アーン・マリーErn Malleyという人物の詩を掲載したが、それはモダニズムに敵対するシドニーの2人の詩人が適当に創作した作品であった。これにより『アングリー・ペンギンズ』の評判は大きなダメージを受け、さらにわいせつな文書の掲載を理由に告発され、有罪を宣告された。その結果、1946年に雑誌は廃刊となった。

　坂本優一郎00